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並河靖之七宝展 [美術館]

並河靖之七宝展

 並河靖之の没後90年に際して、
 並河靖之七宝展_明治七宝の誘惑、透明な黒の感性_が開催されました。


そもそも七宝とは?

 金・銀・銅・鉄・青銅などの”胎”に”釉薬”と呼ばれるガラス質の色の粉あるいは粒を焼成したもの。
特にリボン状の銀線を胎に施して、胎に区切りをつける七宝を有線七宝といいます。
有線七宝は無線七宝よりも、絵柄がはっきりと浮かび上がるのが特徴です。
有線七宝は銀線によってアウトラインがはっきりとしていますが、
一方で無線七宝は銀線を施さないため、輪郭がぼけて優しい印象になります。

有線七宝では並河靖之(Namikawa Yasuyuki)、
無線七宝では濤川惣助(Namikawa Sousuke)が有名。


有線七宝の制作手順
①銅板などで土台を作ります。この土台を"胎"といいます。

②胎に下地をつくります。
 裏には裏引き用の釉薬を裏側に盛り、乾燥したら表面用の釉薬を薄く盛り、
 電気炉で焼いて胎に焼き付けます。

③紙に書いた下絵を、カーボン紙を使って胎の表面に写し取ります。

④リボン状の銀線を、カーボン紙で描いた下絵に合わせて置いていきます。
 これを殖線といいます。

⑤銀線で区切った空間に適当な色の釉薬をさしていきます。

⑥800度程の電気炉で焼成します。

⑦荒いやすりから細かなやすりの順に表面を磨いてととのえます。

⑧蜜蝋を表面に塗ったら完成です。




 1 桜蝶図平皿(明治中期) 
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2 花文飾り壺
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 3 四季花鳥図花瓶(明治中期) 
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 4 菊御紋章藤文大花瓶 
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5 菊唐草文細首小花瓶
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 6 鳳凰草花図飾壺(中央)と草花図飾壺(左右)(明治中期) 
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日付 2017年2月4日(土)
場所 東京都庭園美術館(白金台)
時間 12時~13時30分頃

〈会場の雰囲気〉
 ・チケット売り場は特に並ぶことなくチケット購入ができた。
  ドレスコード割引き、今回は蝶のモチーフのものが対象だった。

 ・靖之の作品の中でも人気の高い中期の作品が本館に並び、
  新館は年代順に壺や香炉、名刺入れなどが展示されていた。

 ・また、靖之の弟子にあたる人の大皿が本館二階正面に展示してあったり、
  当時使っていた粉状の釉薬や、胎に殖線をして釉薬を焼き付けるまでの課程が
  実物と共に展示してあった。

 ・ビデオ上映は靖之の作品の簡単な解説と
  有線七宝の作り方を解説するものだった。

 ・会場全体は静かな雰囲気で、静かに作品を鑑賞していた。


〈見学者の様子〉
 ・主な鑑賞者は40代~60代と思われる男女。
  
 ・1人で来ている人や夫婦、60代の5~6人の女性グループなどがいた。
  特に男性は1人で鑑賞しに来ている人が多かった。

 ・男性は無料貸し出ししている単眼鏡で展示品の細部までじっくり見ていた。

 ・男:女=1:1

 ・他には学生らしき人もちらほらと見受けられた。

 ・あまり混雑していない。
  展示品のガラスケースに3~4人が囲んで見ているような感じ。


〈土産物コーナーの状況〉
 ・ポストカードや図録はよく手に取られている。

 ・購入に至る人は少ないようだった。
  (男性は購入に慎重?)

 ・企画展の土産物らしい土産物はあまりない。

 ・バレンタインデー企画ということで美術館限定のチョコレートが売られていた。
  チョコレートの柄は、美術館入り口正面にあるルネ・ラリックの
  ガラス装飾のモチーフになっている。 


〈この展示会で感じたこと〉
 ・ポスターにも使われている藤の柄をはじめ、靖之が好んだ蝶柄などの古典的な柄はもちろん、
 竜や鳳凰のモチーフや、トルコブルーに小菊と唐草の模様が入った大陸を感じさせる柄など、
 いろいろ楽しむことができました。
 晩年になると風景柄の香炉が多く展示されており、
 まるで立体的な風景画を見ているようでした。

 ・京都の並河靖之七宝記念館からの貸し出しがほとんどでしたが、
 中には海外の美術館からの貸し出しもあり、
 普段国内では見ることが叶わない作品を見られました。
 そういったところも企画展の良さであると思いました。

 ・「メディチ家の至宝展」の際には女性が圧倒的に多かったことに対し、
  今回は男性が多く見受けられました。
  有線七宝は確かに作り方を知っていなければ素晴らしさが伝わりにくい部分があるので、
  そういった意味で男性への受けが良かったのかもしれないと思いました。

 ・「メディチ家の至宝展」ではカメオのブローチの裏側が七宝のものが多く、
  それに注目する女性の方がたくさんいたので、
  今回の展示も女性に人気がでるのかなと思っていましたが、
  それについては微妙に違っているようでした。

 ・単眼鏡の無料貸し出しはとても良い試みだと思いました。
  一つ一つの作品をじっくり観察することができて、靖之の作品の繊細さがよく分かります。


〈背景〉
 ・会期    2017年1月14日(土)– 4月9日(日)

 ・会場    東京都庭園美術館(本館・新館)
         ※休館日 第2・第4水曜日(1/25、2/8、2/22、3/8、3/22)

 ・開館時間 10:00–18:00 (入館は閉館の30分前まで)
         3/24、3/25、3/26、4/1、4/2、4/7、4/8、4/9は夜間開館20:00まで
         (入館は19:30まで)

 ・主催    公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、
         毎日新聞社

 ・後援    ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
         ブリティッシュ・カウンシル

 ・協力    日本航空

 ・協賛    岡村印刷工業

 ・年間協賛 戸田建設



〈編集後記〉

 私自身、有線七宝で小さなブローチを作ったことがあるのですが、
これが本当に難しいです!
銀線を絵柄通りに立てられなかったり、焼成で焼きすぎてしまって銀線が溶けたり・・・
単純な絵柄なら良いのですが、多少大きいものや複雑な絵柄となると、
ある程度の経験値が必要です。

 並河靖之の美しい黒の色は単色ではなく、
様々な色の釉薬をブレンドすることで実現します。
また通常、釉薬は粒状のものを使いますが、靖之は粉状の釉薬を使っていました。
そうすることで、よりキメの細かく艶やかな色をだすことができています。

 そしてなにより素晴らしいのは、作品を作り上げる技術です。
靖之の工房ではすべて分業制で、それぞれの得意分野をもつ職人を抱えていました。
七宝は作品が大きくなればなるほど、焼成の際に失敗するリスクが高まる繊細なものです。
靖之は試行錯誤を重ね、作品の形、部分別の銀線の量、すべて計算し尽くして作品を作り上げています。
電気炉がない時代のことですから、釜の温度も当然一定ではなく、焼成は容易ではありません。
靖之の七宝はそうした研究の末にたどり着いたのだと思うと、感動的です。

 ぜひ一度、実物を見ていただきたいです!!



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